Hiblow FC誕生秘話

「Hiblow(ハイブロー)ハイッテル」を実現させよう!・・・

どこかの企業広告をもじったようなスローガンを社内で掲げたのは、2005年の事でした。

2009年に市場導入され、いま、新しいエネルギー供給の形として最も注目されている、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」。テクノ高槻では、2000年頃からこの「エネファーム」に使用されるブロワ「Hiblow」の開発を続けております。

2000年当時、燃料電池のより速い実用化を図るべく、コージェネレーションシステムやモバイル、バックアップ電源など、さまざまな用途向けの燃料電池システムの開発が盛んに行われていました。その中でも特に注目されていたのは、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」です。家電メーカーや重電メーカーなど、多くのメーカーでも開発が進められ、当社のHiblowも数多くご採用頂いたことから、実用化を心待ちにしていました。

しかし、2003年ごろになると製品化に向けた開発が進められるようになり、4万時間の耐久性やDSS(Daily Start and Stop)運転への対応など、それまで研究開発の段階では検証されなかった課題が出始め、お客様からは、「消耗部材のダイヤフラムゴムに、4万時間の耐久性が満足できるのか?」とのご指摘を受けるようになりました。そして、2005年頃には燃料電池市場におけるHiblowの採用例は、ほとんど無くなってしまったのです。

こういった逆風の中でも、テクノ高槻では「エネファームの市場導入には、低コスト化が大きな課題であり、その克服にはコストパフォーマンスに優れた【Hiblow】が必ず貢献できる!」という信念のもと、必死に技術的な課題克服に向け、チャレンジを続けました。

冒頭のスローガンは、この様なときに社内向けに掲げられたものです。
「Hiblow(ハイブロー)ハイッテル」を実現させよう!

当社での苦境とは裏腹にエネファームの開発自体は計画通りに進んでいきました。2005年には国の施策による大規模実証事業がスタートし、4年間で4千台以上のエネファームを設置するという大掛かりなプロジェクトによって、メディア等でも注目されるようになりました。しかし、当時はシステム価格が約1,000万円と非常に高価であり、実用化への大きなハードルとして、低コスト化が求められるようになり、当社での思惑通り、補機類と呼ばれるブロワなどのエネファームを構成する周辺機器の低コスト化が課題として挙げられるようになったのです。

この業界の声を反映する形で、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構が運営する委託事業「家庭用燃料電池システムの周辺機器の技術開発」、通称【補機プロジェクト】が2005年にスタートし、補機類の耐久性向上や効率向上、そして何よりコストダウンの実現に向けた取組が産官連携により進められることになりました。

幸運にもテクノ高槻は [燃料昇圧ブロワ]の技術開発をテーマとして、この事業に採択されました。燃料昇圧ブロワは、エネファームに燃料となる都市ガス、もしくはプロパンガスを昇圧してシステムに送り込むために使用するブロワであるため、耐久性や低コスト化の他、安全性と信頼性が求められます。テクノ高槻ではそれまで空気を送り出すブロワしか手掛けた経験がなく、技術的には非常に大きなハードルでありましたが、開発陣の必死の努力によって、課題克服にあたり、2008年遂に燃料昇圧ブロワ【FC-0520N】を製品化することに成功しました。

FC-0520N

2012年、エネファームの市場は順調に拡大しており、すでに累計で4万台以上のシステムが日本国内に設置されております。これらのエネファームの中にはテクノ高槻の燃料電池用ブロワが搭載されており、一般ユーザー様の日常生活に陰ながら貢献させて頂けることに、大きな喜びを感じております。

テクノ高槻は空気の力を使って、お客様と一緒に夢を形にしていく事を目指し、チャレンジを続けます!
そして、その実現を決してあきらめません!

今後とも、テクノ高槻をどうぞよろしくお願いいたします。